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大阪地方裁判所 昭和59年(わ)5025号 判決

事件

主文

被告人を懲役五月に処する。

この裁判が確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市淀川区田川二丁目一番一一号所在の変圧器、溶接機等機械器具の製造、販売等を目的とする大阪変圧器株式会社(代表取締役小林啓次郎ほか二名)に総務部株式事務等担当の課長待遇として勤務していたものであるが

第一従前広告料名目でいわゆる賛助金を支払つていた由良誠三に対し、今後同会社の株式の取得を差し控えて株主権の行使をしない旨依頼し、その報酬として、同会社の交際費から

一  昭和五八年四月三〇日、大阪市住吉区我孫子東二丁目六番四号株式会社大和銀行我孫子支店のメンバーズスナックパル代表原口秀子名義の前記由良の普通預金口座に三万八、四〇〇円を振込入金し

二  同年七月三〇日、右原口秀子名義の前記由良の普通預金口座に四万四〇〇円を振込入金し

三  同年一〇月五日ころ、右大阪変圧器株式会社本店事務所一階の応接室において、前記由良に対し、現金四万円を手渡し

四  同年一二月八日ころ、前同所において、同人に対し、現金四万円を手渡し

て、それぞれ供与し

第二別紙一覧表記載のとおり、同年五月中旬ころから同一二月一一日ころまでの間、九回にわたり、前記大阪変圧器株式会社本店事務所一階応接室ほか四か所において、いずれも同会社の一単位の株式の数(一、〇〇〇株)以上の数の株式の株主である城戸満夫ほか五名に対し、同年七月二七日開催予定の同会社第一一九期定時株主総会又はひきつづきその後に開催予定の同会社の株主総会において、その株主権を行使するに際し、議事の円滑な進行に協力されたい旨依頼し、その報酬として、同会社の交際費から右城戸ほか五名に対し、現金合計九九万円を各手渡して供与し

もつて、前記由良ほか六名に対し、株主の権利の行使に関し、同会社の計算において、それぞれ財産上の利益を供与したものである。

(証拠の標目)〈省略〉

判示所為の該当法条 第一の各事実、

第二の各事実いずれも商法四九七条一項(いずれも懲役刑選択)

併合罪加重 刑法四五条前段、四七条

本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の別紙一覧表4の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予 刑法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(正木勝彦)

別紙  一覧表

番号

供与年月日

昭和五八年月

ころ

供与の場所

受供

与者

供与

金額

1

五・中旬

前掲大阪変圧器株式会社本店

事務所一階応接室

城戸満夫

二万円

2

六・上旬

右同

車戸典生

こと

車戸忠夫

五万円

3

六・中旬

大阪市南区道頓堀一丁目八番三号

料亭「まつ本」

滝川資徳

一〇万円

4

六・二八

東京都港区新橋五丁目八番九号

山田ビル三階林松太郎事務所

林松太郎

二〇万円

5

八・上旬

番号1に同じ

貴村志朗

こと

岡信也

一四万円

6

八・下旬

番号1に同じ

村田利雄

三万円

7

九・二一

東京都墨田区向島二丁目一一番一二号

パブスナック「アップル」

番号4に同じ

二〇万円

8

一二・上旬

番号1に同じ

番号2に同じ

五万円

9

一二・一一

大阪市大淀区内

ホテル「プラザ」

番号4に同じ

二〇万円

合計 九九万円

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